不動産投資がインフレに強い理由とは？
リスクを回避するインフレ対策のための物件選びとは

不動産投資は資産形成の中でインフレに強いといわれていますが、その理由とはなんなのでしょうか。

 

不動産投資用物件を購入した後の不動産経営は、一般的に長期的な取り組みとなるため、インフレなどの影響やリスクについて把握しておくことが重要です。

 

本記事では、不動産投資がインフレに強い理由や、インフレ時に受ける影響、またインフレ対策のための物件選びなどを解説しています。

インフレ時における不動産投資のリスクや影響などについて、より具体的な運用計画を立てるために、不動産投資に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産投資がインフレに強い理由とは？

 

不動産投資がインフレに強いと言われる理由は、インフレによってモノやサービスの価格が上昇すると、不動産の家賃も上昇する傾向にあるためです。また、不動産は現物資産であるため、その価値が下がりにくく、インフレによってお金（貨幣の価値）の価値が相対的に減少することで、借入金額が実質的に目減りします。

 

ここでは、インフレの意味や現象、デフレとの違いについて見ていきましょう。

インフレとはそもそもどういう意味？

インフレ（インフレーション：Inflation）とは、モノやサービスの値段（物価）が継続的に上昇する現象のことです。物価の上昇により、同じ金額で購入できるモノやサービスが減少し、お金の価値が相対的に低下します。

例えば、以前は1個1,000円で買えた商品が今年から1個2,000円になった場合、「物価が2倍に上がった」と表現できますが、「お金の価値が1/2に下がった」とも言えます。

 

このように、インフレが発生すると、以前と同じ金額ではモノやサービスを購入することが難しくなり、結果としてお金の価値が相対的に低下するのです。

 

一般的に、インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。

 

良いインフレは、景気が良く企業が収益を上げ、給料が増加するなど、景気拡大に伴って生じるインフレです。物価が上昇する一方で、給料も上昇するため、実質的な購買力は保たれる傾向があります。

 

一方で、悪いインフレは景気が悪く、給料が上昇しない状況下で物価が上昇することで、家計に大きく圧迫します。

インフレとデフレの違い

インフレは、物価が上昇し続けてお金の価値が相対的に低下する現象を指しますが、デフレ（デフレーション：Deflation）はその反対の現象です。

 

デフレとは、モノやサービスの価格が継続的に下落し、お金の価値が相対的に上昇する状態を指します。

 

例えば、以前は1個1,000円で買えた商品が今年から1個500円になった場合、「物価が1/2に下がった」と表現できると同時に、「お金の価値が2倍になった」とも考えられます。デフレの原因は、景気が悪化し、モノやサービスの需要が低下し供給を下回ることです。

 

デフレが進行すると、「値段がさらに下がるかもしれないから、お金を使うのをもう少し待とう」と消費を控える傾向が生まれ、それがさらなる需要の低下を招き、モノやサービスの価格がどんどん下がっていくことがあります。

不動産投資はインフレ時にはどうなるの

 

不動産投資は、インフレに強いとされています。通常、インフレ時にはお金の価値が目減りしますが、不動産は現物資産であるため、影響を受けにくく、資産価値の変動が比較的少ない傾向があります。

 

さらに、インフレによって家賃収入が増える可能性があるのも不動産投資の特徴です。家賃収入が増えることで、インフレによる生活費の増加分を部分的にカバーすることができるでしょう。

 

ここでは、インフレ時の不動産価格や家賃について紹介します。

不動産価格はどうなる？

通常、インフレが発生すると、物価が上昇し、現金の価値は相対的に低下します。しかし、マンションやアパートなどの不動産は、現物資産であるため、価値に影響が少ないという特徴があります。

 

インフレが起こると、現金の資産はその価値が減少してしまうことがありますが、不動産の場合は価値があまり変動しないことが多いです。

 

そのため、不動産投資は資産価値が比較的安定し、インフレに強いとされています。

家賃はどうなる？

インフレが発生すると、物価が上昇し、家賃なども徐々に上昇する傾向があります。不動産投資の主な収益源は家賃収入です。借主がいる限り、毎月一定の家賃収入を得ることができます。

 

例えば、家賃が10万円の場合、1年間で120万円、5年間で合計600万円の家賃収入が得られます。もしインフレで家賃が10%上昇したとすると、1年間で得られる家賃収入は132万円、5年間では660万円です。

 

インフレで家賃が上昇することで、不動産投資の収益向上が期待できます。

 

インフレによって「日用品などの値段が上がり大変になった」という状況でも、家賃収入の増加により、生活費の増加分をカバーすることが可能です。

 

不動産投資はハイパーインフレになったらどうなる？

ハイパーインフレは、物価上昇率が急激に増加し、通貨への信用が損なわれ、現金の価値が大きく低下する現象です。国際会計基準では、3年間でインフレ率（累積）が100％以上になることをハイパーインフレの条件の一つとしています。

 

ハイパーインフレが発生すると、商品やサービスの価格が急騰し、その影響でマンションやアパートなどの家賃も大幅に上昇することが期待されます。生活費が著しく増加する可能性がありますが、一方で家賃収入の増加により一部をカバーすることが可能です。

 

不動産は現物資産であるため、現金のようにハイパーインフレによる価値の目減りリスクが低減されます。さらに、不動産価格が上昇したタイミングで売却を検討することもできるでしょう。

不動産投資物件インフレ時のメリットとは

インフレ時の不動産投資物件のメリットについて理解しておくことは重要です。

インフレやデフレなどの状況に応じて、適切な戦略を考えておくことで、実際にインフレが発生した場合に冷静に対処できるようになります。

 

ここでは、インフレ時の不動産投資物件のメリットについて見ていきましょう。

借入金額が実質的に目減りする

不動産投資物件のメリットは、インフレ時における借入金額の実質的な目減りです。

 

一般的に不動産投資を始める際には、金融機関から融資を受けることが必要になります。特に一棟マンションなどの大規模な物件では、1億円以上の融資を受けることもあります。

 

インフレが発生すると、商品やサービスの価格が上昇し、現金の価値が相対的に低下します。そのため、借入金額も実質的に目減りすることになるのです。

 

例えば、不動産投資を始める際に金融機関で8,000万円の融資を受けたとします。ローンを組み返済している途中でインフレが起こると、現金の価値が相対的に減少するため、実際に融資を受けた「8000万円」の価値も下がることになります。

 

つまり、融資を受けた「8000万円」の自体は変わりませんが、現金の価値が変動するためローン返済額は実質目減りする効果があるのです。

 

このように、借入金額が実質的に目減りすることは、インフレ時における不動産投資のメリットと言えるでしょう。

不動産投資物件インフレ時のリスクとは

 

インフレ時における不動産投資物件のリスクを把握することは重要です。

 

単に「インフレ対策になるから」「インフレに強いから」という側面だけで、不動産投資を始めるか容易に判断してはいけません。

 

不動産投資にはさまざまなリスクが潜んでいるため、安定した収益を得るためには、これらのリスクをしっかりと把握し、適切なリスクマネジメントをすることが必要です。

不動産投資物件インフレ時の注意すべきリスクとは不動産投資はインフレに強いとされますが、インフレ時にもいくつかのリスクに注意する必要があります。

 

空室リスクは不動産投資の代表的なリスクです。不動産経営は入居者がいれば家賃収入を得ることができますが、空室が発生すると収益が下がり、赤字になる可能性が高まります。好立地物件を選ぶなどすることで、空室リスクを軽減することが可能です。

 

さらに、空室リスクだけでなく、家賃滞納リスクや修繕リスク、災害リスクなどにも注意が必要です。

 

あらゆるリスクを想定し、対応策を考えておくことで、安定した不動産経営を実現できます。インフレ時においても、不動産経営のリスクがゼロになることはありません。不動産投資を始める前に、さまざまなリスクについて理解し、リスクを考慮した運用計画を立てることが重要です。

 

不動産投資インフレ対策のための物件選びとは

インフレ対策で不動産投資を検討する場合にも、基本的な不動産投資におけるリスクを回避する視点で適切な物件を選びましょう。例えば以下のような点がポイントになります。

＜インフレの影響を受けにくい物件の選び方＞

• 物件の位置する地域の経済成長が見込まれる場所を選ぶ
• 将来的な賃料の上昇ポテンシャルが高い物件を選ぶ
• 高品質で耐久性のある建物を選ぶ
• 需要が高まる地域や需要が安定している物件を選ぶ

 

上記のような物件を選ぶことで、インフレに強い不動産投資ポートフォリオを構築することができます。しかし、投資はリスクを伴うものであり、専門家のアドバイスを受けつつ、慎重に判断することが重要です。安定した不動産経営を実現するために、物件を選ぶ際にはしっかりと確認しましょう。

まとめ

この記事では、不動産投資がインフレに強い理由や、インフレ時に受ける影響、またインフレ対策のための物件選びなどについて解説しました。

 

不動産投資は現物資産であり、万が一インフレが起きた際も家賃の上昇や借入金額の実質的な目減りが期待されるため、インフレに強いとされています。また、都市部の好立地物件などを選ぶことで、空室リスクを軽減し、高い利回りが期待できるでしょう。

 

不動産経営は長期的な取り組みとなるため、インフレやデフレを考慮した運用計画を立てることが重要です。不動産投資に興味がある方は、条件の良い物件を取得し、インフレやデフレを考慮した上で運用を進めていくことが大切です。

木下不動産の投資マンション